水曜日はフェルトへ

今は自分語りしか出来ない…

根染で待つ

 

 

台風21号の接近により、開催が危ぶまれていた我が娘が通う保育園の運動会。

体育館で無事執り行なわれた。

そこで中学3年生の時に同じクラスだった男子にバッタリ会った。

同じ保育園に通う子がいるもの同士の、当たり障りのない立ち話をしていたら。

「お、2人目?」と言われた。

ゆったりワンピースは、マタニティウェアに見えなくもないかもしれないが、単に大増量しただけなのだ。

彼は失言だと慌てたのか、みるみるうちに汗をかいて斜め上を見ながらフォローしていた。

 

私が中学3年生の頃、男子の間ではお昼休みにバスケをするのが流行っていた。

スラムダンクど真ん中世代。

彼は「左手はそえるだけ…」をやろうとして、何故か蛇拳の構えをしてしまった。

その日の午後は、彼のそんな可愛らしいやらかしで話題は持ちきりだった。

なんてことを思い出したので、ちょっとヤイヤイ言ってやろうかとも思ったけどやめた。

 

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中学時代。

なんて苛酷な日々だったんだろう。

1年生の時は3年生の一部の先輩に目の敵にされてしまい、呼び出されては囲まれて責められた。

「私の悪口を言いふらしただろう」と因縁をつけられたが、存在を知らない人の悪口を言うことはできない、と返し、お姉様方のハートに火をつけてしまった。

よくよく聞くと、女先輩の片想い相手の先輩に私がプレゼントをあげたのが気に食わないようだった。

アイドルの誰担当、誰推し、というようなノリでサッカー部の先輩にプレゼントを渡したことが、こんなに怖いことになるなんて。

私の友人も他の先輩に渡していたけど、呼び出されて責められたというのは聞いたことがない。

運が悪かった。

人体断面図がプリントされたリュックを背負い、指定カバンにセックス・ピストルズのステッカーを貼ったりしていたのが不気味だったり生意気だったりと映ったんだろうか。

中学1年生の私にとって3年生は大人よりも怖く、絶大な権力を振りかざす人、だった。

登校して3年生に遭うと「あ、厄介だー。」と言われた。

私は3年生に「厄介」というあだ名をつけられていた。

もうこれが憂鬱で仕方なかった。

スカートの長い先輩に、お前はスカート長くするなよ?と意味不明な釘を刺されたけど、そんなスケバン風(?)に制服を着こなしたい欲は皆無だったので、しません!しません!と逃げ帰った。

むしろスカートは短くしたかったので、少し短くするとまた呼び出された。

大人数で囲んで、怒鳴りつけて脅すのだ。

これがまぁ怖いこと!

怖いので、意識を飛ばしてボーッとしているとライターを投げつけられた。

「普通もっと怖がって泣いたりするだろう!」

怖いけど、あなた達を喜ばせる為に泣いたりはしないんですよ。

隠れて泣きます。

そして隠れて泣いているのを、サッカー部の先輩に見られて慰められる。

お姉様方は私にチクりやがってー!とまた呼び出しアンド怒鳴りつけ。

オー悪循環!

とにかく怖いし憂鬱な日々だったけど、私は悪くない、向こうが悪だと心の底から信じることができたので、耐えることができた。

私を支えたのは、自分の未来への可能性と、彼女らの低次元な振る舞いが自身の人間性をどんどん汚し堕落させていくんだという憐れみのような感情だった。

そして卒業式の日、私を特に熱心に指名してきた先輩は、号泣しながら謝ってきた。

私も共に泣いて、いいんです!高校に行っても頑張ってください!と抱きしめた。

はずがなく、「無」「空」「虚」。

そんな言葉が私から漂っていたに違いない。

 

上記のことを思い出しながら書いたけど、そこはかとなく私の可愛げのなさや空気の読めなさが滲んではいまいか。もしくは不気味さ。

まぁいいか。

 

理不尽な先輩と(心の中で)戦うのは、辛かったけど、心が折れることはなかった。

自分を正しいと信じて進むことができたからだ。

一方、中学2年生から3年生にかけての陰口やデマ、仲間はずれは比べ物にならないほど苦しく不安で、自分に正当性があると信じても、友人に嫌われている、という事実それだけで悲しく惨めだった。

誰かが私が誰々の悪口を言っていた、というデマを広めそれが刃となって私に向かってきた。

全く身に覚えのないことで、私は言ってない!と告げたところで証明する手立てはなかった。

デマを立て広めるというのは本当に罪深い。

 


Nirvana - Smells Like Teen Spirit (Live at the Paramount) HD

大きな体を隠すように、学校生活を送っていた私に、無視をしていた女子の1人が言った。

「悲劇のヒロイン面しやがって。」

よっぽど辛気臭い顔して、鬱陶しかったのかもしれない。

その一言で私は吹っ切れた。

逃げよう。

と言っても家出をしたり、登校拒否したりしたわけではない。

世の中、彼女達だけではない。

事情を知らない同級生だってたくさんいる。その子達と話せばいい。

家に帰ったら楽しいことがたくさんある。

大好きな音楽を聴いたり。

デーモン小暮の笑い声のモノマネの練習をしたり、ツインピークスのクーパー捜査官を真似てテレコに色々吹き込んだり。

フールズメイトやドールなどの雑誌を読んで文通相手を見つけたり。

自分で服をデザインして作ってコスプレしたり。

フールズメイトで知り合った高校生のお姉さんに聞かせてもらったのがニルヴァーナの「Nevermind」だった。

聴くと不安な気持ちになったけど、お姉さんはこのバンドはくるよーていうかもうきてるよーと大プッシュしていた。

 

そんなある日の理科の授業。

クラスのヤンキーの女の子が、腕に針を刺して、傷口にマッキーペンを擦り込むという恐ろしいことをしていた。

アルコールランプで針を熱し、腕にチクチクと針を刺す。

○○命、とおそらく彼氏の名前を刻みつけているようだった。

そして私にも彫ってあげようか?と訊いてきた。

丁重にお断りしたんだけど、じゃあもし彫るならなんて彫る?と聞かれたので、私は

「根染」と書いた。

「ねぞめ?」

「違うよーねぞめっぽいけど、ねはんって読むんだよー。」

いえ、彼女が正解です。

根染は涅槃じゃありません。

「そうなんだー!頭いいー!」

「そんなことないでー!」

沖縄で生まれ育ったのに、謎の大阪弁で答えた。

 

それから学校で再び彼女と会ったのは、卒業式の日だった。

彼女は卒業式には出席せず、式の終了後に赤ん坊を連れてきていた。

出産したばかりなんだとか。

それ以降、彼女は見ていないし噂も聞かない。

 

いじめられるのにも原因がある。

そんなものはない。

いじめる奴に原因がある。

貸した金を返さないのは返さない奴が悪い。

痴漢されるような服装なんてものはない。

する方が悪い。

された方の未熟さや迂闊さはまた別の話。

きちんと線を引いて。

 

うぇーオチなくてすみません。

週末の台風気をつけましょう!

Smells Like Teen Spirit

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